学科教員がなんとなくお答えしています。学部・学科における最新情報とは異なる可能性があります。
また、農学部サイトにもFAQページがあり、以下の項目がありますので、あわせてご確認ください。
- Q. 農学部の3学科では何をめざしていて、具体的に何を学べるのかイメージがわかないのですが?
- Q. 理学部、工学部の生物系学科との違いはどんなところでしょうか?
- Q. バイオテクノロジーを勉強したいのですが、農・工・理のどの学部、どんな学科を選んだらよいのでしょうか?
- Q. 農学部における食品関係の研究と、家政学系の食物学科での研究との違いはどこですか?
- Q. 高校で生物を履修していない人は、入学後不利になることがありますか?
- Q. 農学部での講義、実験や実習、卒業研究はどのような形式で行われますか?
- Q. 卒業後の進路はどうなっていますか?
- Q. 大学院に進学しないと専門的な教育は受けられませんか?
- Q. 農学部でバイオテクノロジーの勉強をするとどのような進路がありますか?
- Q. 農学部では、どのような資格を取得することができますか?
★学科の内容・学びについて
Q. 具体的にどんなことが学べますか?
【学びの内容と特色】ページに関連する科目をひたすら並べました。ここで一覧を作ると大変長くなるので、詳細はそちらをご確認ください。
とはいえ科目名だけ見てもわからないですよね。気になる科目があった場合は、名古屋大学のシラバスを検索してみると、さらに詳細な内容がわかります。
https://syllabus.adm.nagoya-u.ac.jp/
例えば・・・(同じ名前の講義が大量にあってちょっとわかりにくいです、すいません)
全学教育科目 → 自然系基礎科目 → 化学基礎I (注意事項等で対象の学部・学科を確認!)
農学部/生命農学研究科 → 農学部 専門基礎科目/専門科目・・・
Q. 高校で〇〇を勉強していないのですが、学科の内容についていけますか?
同じ授業を一緒に受けるので、同じ講義でも感じる難易度には差があると思いますが、そもそも大学の講義は90分の講義に対して180分の自習を想定しています!
もちろん得意な科目ならそこまでやらなくてもついていけますが、高校で選択していなかったり、苦手な科目は、この自習時間のバランス次第です。講義時間だけで全部わかる、を想定していません。ここさえわかっていれば、大丈夫です。同級生もみんな同じです。
Q. どのような専門科目や実習がありますか?
【学びの内容と特色】ページで、生物共生系、環境系、資源利用系、データサイエンス系に分類しつつ、各科目の内容をまとめてあります。ここで一覧を作ると大変長くなるので、詳細はそちらをご確認ください。
また実習については1年生・2年生の全学科目として、生物・化学・物理・地球科学の基礎実験があり、農学部3年での通年専門科目として生物環境科学実験実習があります。3年生の午後はほとんど実習になります。合宿実習もあります。
Q. 高校で物理を選択しているのですが、生物選択の方と授業に差が出ることはありますか?
授業は同じなので、講義時間内での理解度として、やってきた人との差はあります。ないわけがありませんね。しかし、そもそも大学では講義時間の2倍の自習を想定しており、「講義時間だけで理解できる」を想定していません。(それより簡単に感じる場合、あなたはその科目が得意、あるいは他で勉強済み、なのです。)
カリキュラムとしてはもちろん、物理系の科目もあります。よって総合的に、得意な科目と苦手な科目で、それぞれ自習時間をバランスよく配分することで、様々な分野の学びを取り入れながら成長できるカリキュラムになっていると考えています。
Q. 講義と実習の割合はどれくらいですか?
大学では自分で受講科目をある程度選ぶことになり、個人差がありますが、3年生までの一例でコマ数(90分×15回のセット)を考えてみましょう。スポーツ科目・集中講義等は省略しつつ概算します。
・全学:講義約20コマ、基礎実験6コマ(2コマ×3種)
・基礎:講義約20コマ
・専門:講義約12コマ、実習27コマ(3年生の午後はほぼ実習)
・合宿:3年次に稲武・設楽フィールドで泊まり込みの合宿実習を行っています。これは計算が難しいですがおよそ2コマ分相当ぐらいでしょうか。
以上より、おおよそ講義3:実習2の比率のようです。実習を増やすのは難しいですが講義はもっと取れますので、実際にはもう少し講義に偏るでしょう。
Q. 学科のカリキュラムには、実社会で役立つ科目が含まれていますか?
実社会とは何なのか。哲学的ですね。我々教員も現実に生きているはずなのですが・・・
それはともかく、大学院卒業後には、理系の専門職(研究者や技術者など)や、公務員・コンサルタントといった道(詳細は【卒業後の進路】)に進む学生が多いようです。そうした場面では、現場の状況を正しく理解し、課題を具体化し、その解決策を考える力が求められます。
これを実現するためには、まず基礎知識がとても重要です。たとえば、何かのデータを分析するためには「この数値は何を意味しているのか」が分からないと始まりません。また、データを正しく解釈するには、数学や物理の知識(例えば光や振動など)が必要になることも多いです。これらの基礎科目は必ず役に立つでしょう。幅広く履修すべきです。
さらに、大学での実習や研究では「課題解決に取り組み、やりきったことがある」という経験が得られます。すなわち、課題を解決するプロセスを一つずつ体験することで、将来どんな分野に進んでも役立つ「問題解決能力」を身につけることができます。これにより、多くの「やればできると思う」範囲があなたの選択肢となります。実社会での大きな武器となるでしょう。
以上より、もし「農学部の専門分野で一生働くわけではない」と考えていても、実習や卒業研究に全力で取り組む意義はとても大きいはずです。この経験が、あなたの将来の選択肢を広げます。がんばりましょう!
★卒業後の進路・キャリアについて
Q. この学科を卒業すると、どのような職業に就くことが多いですか?
細かい職種・社名などは【卒業後の進路】にまとめましたが、当学科の卒業生の80%以上は大学院に進学します。学部卒の場合は次のQ&Aに任せるとして、修士卒の場合、環境・エネルギー、食品、建設、不動産、ITなど、多彩な分野で卒業生が活躍しています。また、公務員として地域社会や国の政策に貢献する道も多いようです。修士課程までに得られる問題解決能力(ひとつ前のQ&A)によって、自分の興味や適性に合わせた多様なキャリアを描くことが可能です。
Q. 大学院に進学しない場合でも就職できますか?
もちろん可能です。
学部卒業生の進路として、例えば学部専門性を活かせる職場に加え、公務員として地域や社会に貢献する道があります。また、IT系企業、各種企業の一般職としての就職も見かけます。学部で培った基礎的な知識や問題解決力によって、様々な業界に適応できるでしょう。
ただし、様々な企業の[研究開発職]の募集要項を見ると、修士学位を要求されることが多いことは認識しておくべきです。
Q. 将来のキャリアとして研究職や教育職に就きたいのですが、進路として可能でしょうか?
まず教育職について、農学部で取得可能な資格は[中学理科][高校理科][高校農業]です。
参考:取得できる免許状/資格
より広く・民間・機関を含めた研究職はもちろん可能で、多くの卒業生が研究職として活躍しています。大学教員には法的な前提資格はありませんが、一般的にはその分野の博士号を取得していることが条件となります。
Q. 学科で学ぶことが資格取得に役立つ分野はありますか?
学科科目が直接的に資格取得で利用できるか、という意味であれば、樹木医補があります。また農学部全体としては、他に食品衛生管理者、食品衛生監視員、家畜人工授精師があります。
参考:取得できる免許状/資格
Q. インターンシップの機会はありますか?
学科としての直接的な斡旋は行っていませんが、企業・機関のほうからインターンシップの案内を、当学科学生向けとして依頼されることはあります。その場合、就職先としてもよく名前のあがる企業・機関からのものが多いと思います。
★入試に関する情報
入試情報の詳細は、常に最新のものを、確認してください!
入試情報を知りたい | 名古屋大学 受験生応援サイト | NU START GUIDE
Q. この学科の入試ではどの科目が重視されますか?
2024年度入学のための試験では、以下のような配点になっています。英=外国語、です。
共通テスト:国200数200理200英200社100情50の950点満点
個別検査:国150数400英400理600の1550点満点
よって配点からは、理数英が重視されているといえます。
Q. 推薦入試と一般入試で違いはありますか?
推薦入試(学校推薦型選抜)では、共通テストの成績に加え、調査書や志望理由書などが評価対象となります。
一般入試では、共通テストと個別検査の成績が主な評価基準となります。
Q. 合格最低点の目安はどれくらいですか?
R4~6年度平均で、2450点満点中、最低点1441点、合格者平均点1529点となっていました。
https://www.nagoya-u.ac.jp/admissions/exam/data/exam-data/
(上のQ&Aと合計点が違うのは[高得点者選抜]の影響があるためです)
Q. 入試にはどのような傾向があり、どんな対策をすればよいですか?
一教員として真摯にお答えしますが、全然把握していません。予備校・塾等による分析レポートなどを見るのが良いかと思います。
Q. 入学後に転学部・転学科はできますか?
制度はありますが、学部・学科ごとに異なる規則・手続きがあり、簡単にはまとめられません。
例えば希望先の定員がいっぱいであれば、受け入れ自体がありません。また要件として、例えば必修科目の習得、入試時の成績などを満たす必要があります。雑感としてですが、入試制度をすり抜けるような下克上タイプの転学部・転学科は難しい、と認識しておくべきでしょう。その後の勉強についていくのも大変ですし、必修科目の違いなどで留年を避けられない状況にもなりやすいです。
Q. 入学後にどのようなフォローがありますか?
◆クラス担任
当学科は各学年に担任となる教員が2名つきます(2クラス制度)。何かあった場合、とりあえずクラス担任に連絡すれば、どこに相談したらいいのか、などについて情報が得られるはずです。
◆名古屋大学 学生支援本部
◇学生相談センター
・カウンセリング部門:学業・進路・将来・対人関係などの学生生活上の悩みや課題についての相談およびカウンセリング
・メンタルヘルス支援部門:不眠・抑うつ・不安などの精神的な悩みの相談
・共修推進部門:留学生と一般学生の合同セミナーやワークショップ、コーヒーアワーなどの企画運営
◇キャリアサポートセンター
・就職活動や卒業後のキャリアに関するさまざまな支援
◇アビリティ支援センター
・障害のある学生が円滑に学習・生活できるよう、修学支援やライフデザイン支援を提供
◆経済的支援
入学料・授業料の減免制度や各種奨学金の紹介、また博士後期課程向けの支援制度などがあります。要項・制度はたびたび変更されるので、必ず最新の情報を確認してください。
経済支援(授業料等免除・奨学金)
Q. 男女比はどうなっていますか?
公開されている【入学者選抜状況】を使って計算しました。年によって結構揺れますね。なお、入学者が必ずしもそのまま進級するわけではありませんが割愛します。
★教員・研究室について
Q. どのような分野の研究室がありますか?
生物環境科学科/森林・環境資源科学専攻には、12の研究室があります。【教員/研究室の紹介】のページではそれぞれの研究室について、所属する教員、教員からのメッセージ、また研究室個々のウェブサイトへのリンク等をまとめてありますのでご確認ください。
Q. 学部生でも研究に関わる機会はありますか?
研究室配属後、いわゆる卒論・卒業課題研究として、研究活動にかかわることになります。テーマの決め方などは、研究室によって大きく異なります。
Q. 研究室配属はどの学年から可能ですか?
2024年時点では、3年生の12月に配属研究室を決定しています。
Q. 研究室に入るための条件や選考などはありますか?
3年生の11月に研究室配属に関する説明会を行っています。その後、オープンラボ期間が設定されており、学生はそれぞれ興味のある研究室を訪問して、教員・所属学生と直接話したり、研究室を見学したりします。その後、12月中に研究室配属希望調査を行います。研究室ごとに定員があり、その枠内で収まっていれば確定します。
希望調査で決まらなかった場合の対応について、これまでの配属説明会では「原則として学生間での話し合いによって決定するが、最終手段として1,2年生の必修科目成績を利用する」と説明されています。この規定は変更される可能性があります。
★実習やフィールドワークについて
Q. 実習やフィールドワークはどのくらいありますか?
3年生までの講義と実験実習の比率はおおよそ3:2です(参考 [学科の内容・学び] Q. 講義と実習の割合はどれくらいですか?)。
利用するフィールドは主に【稲武・設楽フィールド】(農学部から東へ、車で片道2時間)で、3年次には合宿も行っています。
Q. どんな実習やフィールドワークが行われますか?
状況写真・大学院生コメントとともに実習の様子をX@nu_agr_seikanで発信しており、メディア欄をご覧いただけると参考になるかと思います。ときどき関係ない写真や新着論文も入ってますが・・・
内容一覧として、シラバス[生物環境科学実験実習]から引用します。
測量・地図判読/木材の生物/植物生理生態/植物分類・森林生態/昆虫・微生物生態/木材の物理学・力学・化学/大気分析/水質・土壌分析/ディベート実習
(稲武・設楽フィールド)植物分類/生物生息調査/森林管理計画
3年生後半は2つのコースに分かれて実習しますが、どちらのコースを選んでも、すべての研究室に配属希望を出すことができます。
①生物共生系・環境系コース実習
造林実習/気象・水文測定/昆虫・微生物生態/水文データ解析/GIS・リモートセンシング/菌類生産現場見学/治山・砂防工事見学/里地・里山見学
②資源利用系コース実習
計測技術(発展)/木材の組織解析/木材のマテリアル利用基礎/生物材料化学/有機化学
Q. 希望する研究対象として特定の生物や環境がある場合、その分野の実習も可能ですか?
基本的に、実験実習としてカリキュラムが組まれているものは、変更できません。どうしても特定の対象に取り組みたい場合は、研究対象として実現可能かどうか、研究室の教員と相談しながら、卒論以降で取り組むしかないと思います。
ただし、無理なものは無理です。例えばシロクマを希望されても・・・いや隣の動物園にいたかな・・・?ともかく、本当にやりたい生物・環境が決まっていれば、それを専門にしてる研究室、を探すべきです。追加で雑談しますと、当学科を卒業後、他所の大学院への進学ももちろん可能です。基礎的な知識・技術を身に着けた後、満を持してそのような専門研究室を目指す、というルートもあり得るでしょう。専門研究室が海外にしかない場合もありますし。
Q. 実習のための設備や環境は充実していますか?
もちろん必要十分なものがあるとは思いますが、最新ですかと聞かれるとちょっと、まぁ、はい。とはいえ常に最新というのはどこでも難しいので、本質的な考え方の獲得をしっかりやりましょう。[環境]に関しては日帰り可能な範囲にいくつかのフィールド(演習林)があり、季節性のある森林・環境に身を置くことができます。当学科から行くことはあまりないですが、農場である【東郷フィールド】と連携することもあります(土が欲しいときとか)。